2024/7/8八村巧馬「才能のない僕」
1年 八村巧馬 競歩パート(左)
初めまして。鈴木胡桃先輩から部員日記を引き継ぎました。観光学部交流文化学科 1 年の八村
巧馬(はちむらたくま)です。まさかこんなに早く自分に日記が回ってくるとも思わず部員の皆さんも
全然僕のことを知らない人ばかりだと思うので今回の日記で少しでも皆さんに知ってもらえたら嬉しい
です!
僕に引き継いでくれた胡桃先輩はとても明るくてビックリするぐらいコミュ力が高くて周りの雰囲気を明
るくしてくれるような素敵な先輩です。自分は内気な性格でコミュ力も低いので先輩は本当に格好良
くて憧れの先輩の一人です!
僕は文章を書くことが下手ですけどとても好きです!なぜなら自分の思っていることをこの場にすべてぶ
つけられる気がするからです!だからこんなネガティブなタイトルになりました。でもこのタイトルは僕の本
心であり僕の行動のすべてを裏付けることばです笑
本当にネガティブな僕ですが最後まで読んでいただけると幸いです。
僕には才能がない。これは紛れもない事実です。勉強、スポーツ、その他諸々うまくことが運んだ記憶
がまるでありません。すべて何かにつまずいてきた人生です。だからこそ僕は競歩をやっているのです。才
能のない僕が何かで結果を出すには他の人と同じことをしていては無理なのです。だから競歩だったの
です。
もちろん競歩は簡単ではありません。実は「最も過酷な陸上競技」なんです。そもそも皆さん競歩って
知っていますか?競歩は歩く速さを競う競技です。走ってはいけません。じゃあどうやって歩きと走りを
見分けているのか?それは 2 つのルールを用いて見分けています。足が体の真下に来るまで膝を伸ば
さなきゃいけないベントニー、片足が必ず地面についてなくてはいけないロスオブコンタクト、この 2 つの
ルールを守りながら歩く速さを競います。そうするとあの作り物めいた不思議な動きが出来上がるので
す。歩くという人間が自然に行う行為を極限まで不自然にしたものが競歩だと思います。どうして昔の
人はこれを競技にしたのだろうとずっと疑問に思っています。それに競歩はめちゃくちゃ苦しいです。人
間は時速 8km 以上になると歩くより走るほうがエネルギーの効率がいいそうです。僕のストロー(長
距離走でいうジョグ)のペースは時速 12km なので大分苦しいです。なのにあんなに動きがダサくて
人気がありません。こんな癖の強い競技なのにどうして僕は競歩をやっているのでしょう笑
だけど競歩にはそのデメリットに見合った大きなメリットがあります。それは全国大会までの距離が一
気に縮まることです!僕は人生で 2 度目の競歩の大会で全国大会の参加標準を切りました。元々
競歩なのでこじんまりした大会ではありますが僕の人生で初めての全国大会でした。才能のない僕、
何をやってもうまくいかない僕が全国大会に出る。その時は本当に自分が漫画の主人公になったよう
な感じがしてもう書き表すことができない満足感というか高揚感?がありました。ちなみにその大会で
は初めて失格しました。でもそこまで含めて主人公になったような夢見心地でした。
ですがいつまでも夢は見ていられるものではありません。タイムリミットやどうしても目を覚まさなくてはな
らない時間は必ずあります。僕にとってその時間は高校三年の北関東大会でした。持ちタイムはイン
ターハイに出場できるかできないかの当落線上でした。当日は 6 月の蒸し暑い中のレースでした。
3000m までは僕を含めて 6,7 人の集団でしたがそれ以降前の 5 人が飛び出して自分は置いてきぼ
りにされました。そこからラスト 3 周で 5 位の選手に追いついてラスト1周までずっと競っていました。相
手は違反が2つついていて自分は 1 つもついていませんでした。(競歩は違反が3つ付くと失格にな
ります)そこで僕はふととても怖くなりました。競歩は最後の 100m で主審の単独で失格になること
があります。失格したら元も子もないし 5 位の選手は2つ違反が付いているなら失格する可能性も
ある。そう言い訳して勝負することをやめてしまいました。結果は 5 位と一秒差の 6 位でした。インター
ハイに出場することは遂に叶わなくなりました。(5 位でゴールした選手は当時高校2年生で今年の
北関東大会で優勝してちょっとした記事になっていました。ぜひ読んでみてください!)どうして僕はあ
の時勝負するのをやめたのか悔やんでも悔やみきれません。才能のない僕が勝つために必要なことをし
なかったのだから当たり前です。しかし悔やんでもインターハイの出場は叶いません。インターハイは自宅
でライブ配信を見ていました。あの時勝負していたら今は違う場所にいたのかもしれないと思うと本当
にやりきれない気持ちで自分がみじめになります。僕が大学でも競歩を続けようと思ったのはその時で
した。
話が少しそれますが少し書きたいことがあるので書かせてください。北関東の試合の後、宿に戻るとお
腹もすいてきます。自分は試合前には気持ち悪くなってしまうため固形物はあまり食べません。だから
その時とてもお腹が空いていて更にその時水ようかんが食べたくなってしまって顧問の先生には禁止さ
れていたものの後輩 2 人とセブンイレブンに急ぎました。顧問に見つかったことは言うまでもありません。
もちろん 3 人で大目玉を食らいました。その説教の最後で顧問に言われたことは今でも忘れません。
「お前がエースなんだから」僕が自分をエースだと思ったことは一度もありません。競歩を選んだ時点で
もうエースではないと今も思っています。才能のない僕の定位置は最下位だと本当に思っていました。
競歩を選んだくせにインターハイにもいけないクソ野郎だと本気で思っていました。でも僕をエースだと思
ってくれる人がいる。あの大好きなチームで僕をエースだと呼んでくれる人がいる。試合直後は涙一つな
かった僕でしたがそう思ってそれを伝えてくれる人がいるということがとても嬉しいのと同時に申し訳なさ
とどこか爽やかな気持ちで泣いてしまいました。爽やかだからこそ苦しかった。この気持ちも今でも忘れ
ません。
話が脱線しました。才能のない僕がインターハイに出場するために犠牲にしたものはとても多いです。も
ちろん北関東大会が終わる 6 月まで全く勉強はしていませんでした。でも僕は立教大学に入りたかっ
た。なぜなら牧野さん(競歩パート4年)がいたからです。夏ごろに一度立教大学の練習にお邪魔
したときはじめてお会いしたのですがまさに僕の理想の練習を実践している方でした。競歩のフォームこ
そ自分とは正反対の歩幅を大きくするタイプの人でだからこそ学ぶことも多いだろうと思って立教大学
を迷わず第一志望にしました。そうなったら後は簡単で才能のない僕が立教大学入るために自分の
ほとんど全てのエネルギーを勉強に向けました。受験期は立教大学に進学した高校の先輩でもある
中崎先輩(フィールドパート 2 年)にアドバイスをもらいながら勉強していました。立教大学には英語
の個別試験がなく英検のスコアが必要なので 12 月の頭までは英検だけに重点を置きながらそれ以
降は立教大学の過去問を分析しまくって何とか合格しました。合格した時は親よりまず中崎先輩に
連絡しました。もう先輩には頭が上がりません笑。
なんとか大学生になってとても驚くことがありました。実は牧野さん以外にもう一人競歩の選手がいた
のです。松本友里先輩(競歩パート 4 年)です。友里先輩は牧野さんとはまた別ベクトルでかっこ
いい先輩です。牧野さんのかっこ良さは競歩に一辺倒な感じ(でもそこがかっこいいのです!)なのに
対して友里先輩は満遍なくかっこいい大人な先輩です。更に立教大学には競歩のコーチもいて一緒
に歩いたりご飯にも連れていってもらいました。五月に行われた関東インカレの後の牧野さんと友里先
輩のお疲れ様会の時には今は社会人の競歩の先輩にもお会いしました。短い期間でたくさんの競歩
選手に会って感じたことは競歩選手は変わっている人ばかりだということです。(もちろんいい意味で
す!)胡桃先輩は僕のことをミステリアスだとおっしゃっていましたが僕からしたら競歩の先輩方はミス
テリアスというよりミステリーそのものだと感じます笑。そもそも競歩をやっているだけでも癖があるのにそ
こに一癖二癖あるような素敵な先輩たちでした。立教大学に入学して良かったと思った出来事です。
才能のない僕ですがずっと周りの環境に恵まれているなとつくづく感じます。本当に周りに感謝です。
流石に長くなってきたので書きたい事はまだまだあるのですが最後に自分の目標について書いて終わ
りにしようと思います。
僕の 4 年間の目標は大きく2つあります。一つは 35km 競歩で結果を出すこと、もう一つは才能の
ない僕が才能を開花させることです。こんなことを言っていますが本当に僕には才能がないのです。実
際にめちゃくちゃ弱いです。だからこそ一番きつくて辛い 35km 競歩で結果を出したいんです。才能の
ない僕は人より苦しい思いをしないと勝てないと思います。だから 20km ではなく 35km なんです。だ
から競歩なんです。もう一つの目標は今までの話とは少し矛盾するかもしれません。でもこれが僕の目
標です。僕の大好きな「ハイキュー!!」の及川徹曰く「才能開花のチャンスをつかむのは今日かも知
れない若しくは明後日か来年か 30 歳になってからかも?体格ばかりはなんともいえないけど無いと思
ったら多分一生ないんだ。」そうです。まだ僕には才能はありません。でも才能開花のチャンスを願って
練習する権利くらいはあると思っています。部活も受験もそこそこ心折れそうになりながら続けてきまし
た。だから後は好きにやらせてもらいます。ご褒美タイムです笑
僕の自己肯定感低めで拙い文章の日記を読んでくださりありがとうございます。こんな僕ですが精一
杯立教の陸上部員として頑張っていきます!!よろしくお願いします!!
次の部員日記は長距離女子パートの一年の井上愛梨にお願いしました。彼女は長女競歩パートの
同期で僕が一番気になっているというかどんな部員日記を書くのか一番気になる存在です。立教英
国学院出身だと聞いてお嬢様なのかな?と思ったら意外にもチャレンジャーな一面もあるギャップも持
ち合わせた面白い同期の一人です。僕が彼女がどんな経験をしてきたのか知りたくて、彼女の日記を
読んでみたくて指名させていただきました。
それでは次回の部員日記もお楽しみに!